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デジタルマーケティングとTCO

デジタルマーケティングとTCO

まずは簡単に自己紹介

プロジェクトマネージャーの小林です。
これまで、事業会社、広告代理店、開発会社に所属し、インフラエンジニア、デザイン、プログラミング、ディレクション、営業、経理、事業企画、経営、と幅広く現場実務に携わってきました。
どの職種・現場においても、なにかしらのプロジェクトのマネジメントを担当してきた、プロジェクトマネジメント歴17年の中堅選手です。

昨今、DX = デジタルトランスフォーメーションに取り組まれている企業様が多いと思いますので、今回はデジタルマーケティングの「あるある」を「TCO = Total Cost of Ownership」の観点でお話しします。私の「酸っぱい」経験をご参考、ご活用頂ければと考えています。


お伝えしたいことサマリー

  1. 初期コスト(時間と金)だけを優先して構築をおこなうと、運用コストが高くなり、中・長期的なROIが低下する。
  2. 試験的または一時的な構築であれば、初期コスト重視で進めても、中・長期的なROIは成立する。
  3. インフラ設計を疎かにすると、多大な運用コスト発生、やり直ししたくても莫大なコストが必要..など、悲劇のスパイラルへ突入する。

TCO とは「総保有コスト」のこと

TCOとは、ある設備などの資産に関する、購入から廃棄までに必要な時間と支出の総計を示します。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/TCO より一部抜粋)

たとえば、マイホームを建てるときには、設計・建築、法定費用がかかりますね。未来永劫劣化しない住宅はありませんので、メンテナンスや、最終的には解体するコストもかかります。
これら、初期費用からメンテナンス費用、さらには解体するまでの間にその物件にかかる総費用のことをTCOといいます。

TCOを考慮しなかったばかりに、デジタルマーケティングの現場で、どのような現実が起こるか(起きたか)をお話していきます。

コストが高くなっても良いから、とにかく早く作って欲しい..???

「コストが高くなっても良いから、とにかく早く作って欲しい」と容認頂ける企業様はお見掛けしませんが、お話を伺っていると、まるで容認しているかのような意思決定をされていることを少なくなくお見掛けします。

決して、どのご担当者様も望んでいるわけではないのに、初期コスト(時間とお金)を優先したがために、「要求定義」「要件定義」を疎かにして構築したせいで、運用コストが恐ろしく高価になってしまった…という事実が少なくありません。
かくいう私も、事業会社に在籍していたときは「とにかく早く作って! かつ安くしてね」という受託側を悩ませる担当者の一部を担っていました。
もちろん運用フェーズにおいても、「なんで毎回こんなに作業費が高いの!?」とさらに悩ませた迷担当者であったことは言うまでもありません。

この「とにかく早く作って! かつ安くしてね」というオーダーを出したことによって、受託側がどのような対応をおこなったか。
そして結果どうなったか。

事業側は見えない箇所を重視しない。受託側は事業側判断に「御意」

たとえば、皆様が新築住宅を建てる際、早く住みたいがために、
コンクリート基礎が「生乾きの状態でもいいから早く建築進めてよ
と仰るでしょうか。

インフラやシステム構築の部分は、目に見えにくい部分だからなのか、中・長期的な視野で要不要をご判断いただくケースが少なくなく、期日を重視し「まずは動作すればよい」「一旦リリースしてから直せばよい」とご判断されるケースを多く経験しました。
一方の受託側は「契約期限に納品すること」が最重要任務であるために、「クライアントが意思決定したのだから問題ない」という判断・進め方になりがちです。

このようにして、プロジェクト開始間もなくして、双方が後々の「負債の種」を蒔いてしまうことになります。

悲劇の歴史の幕開け

十分な検討をしなかったがゆえに、以下のような結果になっているリアルを多く見かけました。
けれど「なぜこうなったのかわからない。。。」という迷える担当者の誕生。


定量面
人員 x 時間単価が跳ね上がる
データベースの構造がわかりづらく、データ抽出や加工にひと工夫が必要
→ 結果、時間がかかる → 結果、人員 x 時間単価が跳ね上がる
→「なんで毎回、見積もりこんなに高いの??」が挨拶言葉になる
依頼するエンジニア単価が跳ね上がる
ひと工夫が必要になったせいで、ハイスキルのエンジニアしか担当できない
→ 単価が跳ね上がる
→「単価の高いエンジニアをアサインしなくていいんだけど」と言いたい気持ちをぐっと耐え続ける
作り直しに当初予算の1.7倍以上必要
データベースを作り直したいが、新規構築の初期コストに加え既存データの移設作業費もかかる。
→ 「・・・」開いた口を塞げなくなる

定性面
受託側の作業品質悪化
→ 事業側から見積もりが高いと指摘され続ける。
→ 対応優先度が下がる。もしくは対応品質を落とす。
受託側のモチベーション低下
→ 事業会社との関係性を解除したい
→ 事業側も同じ思いを持つが、新たな受託会社が見つからない。(不具合のあるシステムをわざわざ受託したくない)

TCOを考慮した意思決定を

今回は、やり直しがきかない初期段階やデータベース基盤構築を例にお話をしてきましたが、運用で利用するツールの採用についても同様のことが言えます。

現在では、低価格でも質の良いもの・会社も多いので、「安物買いの銭失い」か否か、判断が難しいシーンは多々あるのですが、もし悩まれた時は、TCOという言葉を思い出していただき、ご参考としていただければと願っております。


弊社、株式会社jeki Data-Driven Lab では、運用中のデータ利活用・デジタルマーケティング支援だけでなく、基盤構築や様々なご相談・ご支援をさせていただいております。
「作ってもらいたい」「分析してもらいたい」だけでなく、「他業者の提案内容が適正なのか意見をもらいたい」というご相談も伺っておりますので、お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人:
小林
プロジェクトマネージャー
事業側、受託側にて、インフラエンジニア、営業、デザイナー、フロントエンジニア、ディレクター、プロジェクトマネージャー、事業企画、経営企画、会社経営など、幅広く実務を経験。 プロジェクトの中核で、ビジネスサイドとエンジニアサイドのコミュニケーション橋渡しと調整のスペシャリストを目指し、研鑽中。