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御社が「データドリブン」をやらなければいけない理由

御社が「データドリブン」をやらなければいけない理由

最近では、上司に「うちもデータドリブンだ!!」とか「データドリブンマーケティングプロジェクトを立ち上げろ!」と言われて困り果てている方もいらっしゃると思います。

この、「データドリブン」という言葉をここ数年で聞くことが多くなりました。例えば、「データドリブン経営」や先ほどの「データドリブン・マーケティング」といった言葉です。

弊社でも、「データドリブン・マーケティング事業」というコンサルティングサービスをこれまで多くの企業にご提供して参りましたが、「データドリブンって結局なに?」というのはなかなか説明するのが難しく、場合によっては「デジタルマーケティング」とか「ビッグデータ・アナリティクス」のような、違った言葉を使って概念を説明したりすることもあります。

カタカナ言葉ばかりで、こうしたIT界隈の言葉にはうんざりしている方もいらっしゃるかもしれませんが、どうやら「データドリブン」や「DX(デジタル トランスフォーメーション)」といった言葉は、一過性の流行り言葉ではなく、今後もしばらく続きそうな勢いを見せています。

今回は、その中でも「データドリブン」という言葉の意味や、「データドリブン」をすることのメリットなどをあらためておさらいしてみたいと思います。

「データドリブン」ってなんですか?

データ経営」あるいは「データドリブン経営」といった言葉が使われだしたのは、最近のことではなく、意外なことに2000年代頃から日本でも使われていたようです。

当時は、OLAPシステム上の多次元データを分析するいわゆる「BIツール」と呼ばれるデータ可視化ツールが登場してきた時代であり、そうしたツールベンダーを中心として、データ分析を使った経営手法の導入が流行しました。

しかし、流行する、ということは火が消えるのも早く、しばらく「データドリブン」という言葉は姿を消しました。

ところが、2010年代に入ると「デジタル化」がアメリカを中心として本格的に広がり始め、様々なビジネスが「デジタル化」することによって、大量のデータが発生していきます。

これがいわゆる「ビッグデータ」という概念です。

ビッグデータ」という言葉自体も最近ではあまり聞かれなくなりましたが、これについては「流行が去った」というよりは、「ビッグデータを活用することが広まり、珍しい概念ではなくなった」と捉えるべきでしょう。

また、「ビッグデータ」というほどの大量のデータを持っている訳ではない企業でも、「スモールデータ」を活用することによってこれまで以上のビジネス成果を挙げる例も珍しくなく、「扱うデータがビッグかどうかはあまり関係がない」という考え方が広まったこともあるかもしれません。

こうして、この頃からまた「データドリブン」という言葉が再燃し、特にデータをこれまで以上に活用するマーケティングとしての「デジタルマーケティング」の分野で「データドリブン」という言葉が取り上げられていきました。

ですが、この「データドリブン」という言葉には、明確な定義がなく、人によって「バラバラ」というのが現状です。

ざっくりと、「データを使った意思決定」のことを指したり、「統計解析やアルゴリズム」といったことを使用して意思決定することを指す場合などもあります。

先述の「DX」も同様ですが、明確な定義がないまま言葉だけが先走っている感もある「データドリブン」ですが、さすがに「データドリブン・マーケティング事業」といったサービスを展開している弊社のような企業の人間が「データドリブンはなんとなくしか分からない」というのでは話になりませんので、以降は「データドリブンの定義」を深堀りしてみたいと思います。

「データドリブン」の定義は?

元も子もない話ですが、先述のように、「データドリブン」には明確な定義はありません。

したがって、何を「データドリブン」とするかは、それを研究する研究者や、サービスを提供する事業者、実際にデータを活用する企業などが、様々な見解を述べています。

そうしたいくつかの見解を整理し、再定義することによって「データドリブン」の全体像が見えてくるかと思います。

以下は、「データドリブン」の概念を提唱するいくつかの研究・書籍が述べていることを抜粋してご紹介、解説したいと思います。

【データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦より

~ データ活用に参加するのは、ネット企業だけではなく、ありとあらゆる業界になっていく。特に「コスト削減」「意思決定の改善」「製品・サービスの改善」にデータを活用することが大きな価値を生む ~

「データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦」は、「アナリティクス界の権威」とも呼ばれる、米バブソン大学教授のトーマス・H・ダベンポート氏が執筆した書籍であり、上記はその中から一部を抜粋したものです。

書籍の中では「データドリブン」という言葉は使用されていませんが、その代わりに「データ・アナリティクス3.0」という言葉が使われています。現代のデータ活用は「3.0」の時代であり、それ以前は「1.0」や「2.0」の時代があった、ということです。

「1.0」や「2.0」の時代では、先述の2000年代頃までの「BI」のように、特に大企業の経営層が財務的な指標や対象市場ごとの売上・シェアなどを大まかに把握して意思決定をする、という目的がメインでデータが活用されていました。

それが「3.0」の時代では、単なる意思決定支援だけではなく、サービスの改善イノベーションといった分野にもデータ活用が必要となっていると示唆されています。

また、従来のデータ活用は「記述型」といって、「過去になにがあったか」を明らかにすることに留まっていたものの、「3.0」の時代では機械学習等のアルゴリズムを活用することで「指示型」つまり「将来に向けてなにをするべきか」に焦点を当ててデータ活用をしていく時代になっていると述べています。

一方で、「データ活用のプロジェクト」を進める際には、これまでその企業がどの程度データを活用してきたのかという「活用レベル」や、企業が置かれている状況によって、取り組み方を変えるべき、と述べられており、やみくもにデータ活用に飛びつくのは危険であると注意しています。

【データ・ドリブン・マーケティング 最低限知っておくべき15の指標】より

~データドリブン マーケティングを実行することによって他社が模倣困難なビジネスを構築することができ、戦略的優位性が保たれる~

こちらの書籍は、ノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院で講師を務めるマーク・ジェフリー氏が執筆された本です。ケロッグ経営大学院といえば、「近代マーケティングの父」とも呼ばれるマーケティング界の権威である、フィリップ・コトラー教授で有名です。

この書籍はタイトルに「データドリブン」という言葉が入っていますので今回取り上げましたが、「データドリブン」あるいは「データドリブン・マーケティング」の意味や定義については明確に述べられていません。

ですが、マーケティングの成果の大半を網羅する「指標」として15の指標を紹介しており、その中でも特に「クリック単価」「トランザクションコンバージョン率」「広告費用対効果」「直帰率」「口コミ増幅係数」という指標が、「新世代マーケティング」の重要な指標であると述べています。

ブランド認知率」や「解約率」、「顧客満足度」といったような指標は、従来のマーケティングでも効果測定され、意思決定に利用されてきましたが、WebやSNSが発展することによって、より様々な視点からマーケティング活動を効果測定することが可能になり、どの活動に対して投資をするべきか、減らすべきか、といった取り組みが明確になりやすいというメリットを挙げています。

そして本書で述べている重要な点は、「データドリブン・マーケティングは企業の規模に関わらず実施することができ、きちんと実行すれば必ず成果をもたらす」ということです。

これまでの「マーケティング」では、マスに対して大量の広告宣伝を投下し、認知度を高めてシェアを獲得することが重要でした。したがって、資本が潤沢な企業が圧倒的に有利であり、商品の質で勝るような中小企業でも、顧客と「接点を持つ」ということすらできない、という状況にありました。

これが、WebやSNSの発展によって、中小企業でも「顧客」とダイレクトに接点を持つことができるようになり、大企業にはできない意思決定の早さや製品開発・改善の早さという利点を活かして、大企業の商品以上に支持される中小企業の商品が登場してきているのも、今後のマーケティングにおいて非常に大切な点です。

【データドリブン経営入門より

~データドリブン経営とは、データに基づいて意思決定を行い、業務上のアクションを起こすことを指す。~

こちらの書籍は、デロイトトーマツグループの安井望氏が執筆された本です。

データドリブン経営」についてきちんと定義づけをしている数少ない文献になります。

本書では「データドリブン経営は、経営者の意思決定のためだけにデータを使うのではない」と述べられており、企業活動すべてにおける意思決定とアクションにデータを活用することが「データドリブン経営」であると主張しています。

具体的には、企業には「経営層」「ミドル層」「現場」という3つのレイヤーで組織が構成されており、そのレイヤーごとに取得できるデータや活用するべきデータが異なってくる、と述べています。

例えば、「経営層」であれば、エリア別にセグメントされた「利益関連指標」や「経済情勢」、貸借対照表に代表されるような「財務指標」といったデータを意思決定に活用し、「現場レベル」であれば、「個別の製品の販売実績」のような「オペレーション」に関するデータを意思決定支援に活用する、といった具合です。

では、「いったいどころから手をつければいいのか?」 ということが疑問に浮かぶと思いますが、それについては「正解」がなく、「自社の経営にとって必要なデータをあらかじめ絞り込まなければならない」とされています。

これを自分たちの企業の中だけですべて賄うことはなかなかハードなことですので、弊社のようなコンサルティング企業の存在価値があるとも言えますが、いずれにしても自分たちの企業の状況、立ち位置、社風、ビジネスモデルといったことをよく理解している人物が中心となってデータ活用を進めなければならないというのはご理解いただけるかと思います。

したがって、「部下にデータドリブンプロジェクトを任せたい」と考えている上司の方がいらっしゃれば、部下の方が本当に上記のような「自社の状況」をよく理解されているかどうか、というのをいま一度よく確認されたほうが良いと思います。

「データドリブン」をまとめてみる

以上のように、「データドリブン」に関する文献を3つ取り上げて、それぞれの考え方や主張を簡単に整理してきました。

共通していることは、

どの産業でも「データ活用」はできるし、必須である

・経営者の意思決定だけではなく、現場レベルでもデータの活用が重要になっている

これまで取れなかったデータを取得して活用することが価値になる

「デジタル化」の波がビジネスを大きく変え、優位性を保つためにはデータ活用が重要である

といったことが浮かび上がってきます。

重要なことは、「データの活用は今すぐにでも始めることができるし、始めたほうがいい」ということです。

当社はデータドリブン経営を目指します」と宣言する必要はないかもしれませんが、コーポレートサイトにそうしたビジョンを掲げている企業ほど近年の業績が伸びているといった報告もあります。

いきなり大きなことをやるのではなく、「スモールスタート」をしてみて、「あぁ、データを活用するとこういう成果がでるのか!」という成功体験を重ねていくことが、「データドリブン」を加速させる1つのコツでもあります。

ぜひ一緒に「データドリブン」していきませんか??

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人:

データプランナー・スポーツビジネスマニア
「データとビジネスをいかに結び付ければいいのか?」をテーマに、分析設計やビジネスモデルの研究をしています。得意な分野は「経営戦略」と「スポーツビジネス」です。最近は「フリーミアム戦略」に興味があります。